まゆつば堂

怪しげな曰く付きの道具ばかりが並ぶ、まゆつば堂。私のお気に入りの場所だ。
河童のミイラや呪われた日本刀や玉手箱を眺めているだけでときめいてしまう。
その道具に込められた歴史やドラマは何度聞いても飽きない。
店主のおっちゃんは「これらが偽物とは思わんのかね？」と聞いてくる。
思わない。だって、本物だった方が面白い。偽物である証拠がないのなら本物でいいじゃないか。
そう話すとおっちゃんが布袋を私に差し出した。
「これはサンタのプレゼント袋。君がいい子なら、この中から君が欲しがるプレゼントを取り出せるだろう」
私は袋の中に手を突っ込み、指先に触れたそれを掴み、取り出した。
袋の中から出てきたのは、まさかのサンタクロース。
サンタさんは私と目が合うと「クリスマスまで待っててね」と言って袋の中へと戻った。
私が欲しかった、サンタクロースが実在するという証拠。
これ以上ない答えにときめきが止まらない。