センスの塊

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「昨日はよく降ったなぁ」

一面に降り積もったセンスの眩しさに目を細める。一つ一つのセンスは羽根の様に儚い。だから、まだ誰にも踏み荒らされていないセンスの上に私がバタンと倒れ込むと幾つかのセンスはキラリと音を立てて舞い上がった。

(温かい…)

私は綿雲の様なセンスの上を転がり始めた。あらゆるセンスがどんどん身に付き、とうとう雪だるまみたいなセンスの塊となった。文章のセンス、絵のセンス…。無数のセンスの中で私は夢を見た。どんな事も大成功する夢。幸福だった。しかし寂しくもあった。

夢から目覚めるとセンスは溶けて消えてしまっていた。残ったのは生身の私、ただ独り。心細さに蹲ると鼻先に温もりを感じた。私はその温もりを指でなぞり確かめてみる。小さなセンスが指先で光っていた。

たった一つ消えずに残った私のセンス。
それは、例え何のセンスも持っていなかったとしても自分を愛し、明日に微笑むセンスだ。
その他
公開:25/12/23 21:20
更新:26/01/23 18:39
月の音色 大原さん 素敵な朗読 ありがとうございました 1月23日公開

ネモフィラの旅人( 風の向くまま )

旅人なのでいたりいなかったりします

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