カタリベは猫である。

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 物語のカタリベ(語り部)は猫である、と誰かが言い出した。
 どこにだって猫はいる。いつだって猫はいた。
 仲睦まじい夫婦のそばにも。線の中の王様のそばにも。庭を営む魔女のそばにも。
 やはり、猫はカタリベであるべきだ、と誰かが言い張った。
 これは余談だが、猫又という妖怪がいる。尾っぽの二本ある猫の形をした妖怪だ。
 猫又は、いや、猫又に限った話ではないが、妖怪たちは時代にあわせ変化する。
 現在の猫又の姿は電気。猫は流体。電流となって電線の中を移動し、誰かのスマホの中に入り込む。
 そしてイタズラを仕掛けては、また電気になって逃げるらしい。
 つまりは、猫はいつだってそこにいるのだ。今もなお。あなたの目の前に。
 猫の目は全てを見通す。
 ゆえに、物語のカタリベは猫であるべき、と僕は囀(さえず)っている。
ファンタジー
公開:25/12/23 22:22

猫目ちゅん

のんびり屋さんです。よろしくお願いします。日常を書くのが好きです。ファンタジーも好きです。思いついたものならなんでも好きかもしれません。たまにタイトル裏のイラストも描きます。

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