こたつに残る匂い

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冬の午後、こたつを出すと部屋が一段狭くなる。

猫は当然のように潜り込み、場所を譲る気配はない。

台所でゆずを切る。皮を刻んでも、まだ余る。

香りが手に残り、洗っても完全には落ちない。

こたつに戻ると、布団の中までゆずの匂いが入り込んでいた。

猫が一瞬だけ顔をしかめ、また目を閉じる。

片づけても、季節だけが残る。

こたつは、そういうものを保存してしまう。
その他
公開:25/12/23 12:32

問い屋

読み終えたあと、小さな違和感が残る短編を書いています。
その余韻が続く作品は、noteにまとめています。

https://note.com/toiya_story

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