サンタクロースの思い出

僕は２０代の頃、サンタクロースとして働いていた事がある。
プレゼントを配る家は自動運転車のTONA改にインプットされてある。それに乗って配達に出る。
プレゼントを配る際はサンタスイッチを押す。すると時間が停まり、僕は老人になった。
老人になると犯罪意欲が格段に落ちるらしくてね。それを狙ってだろう。
それでも時間停止中に窃盗等を行う輩は必ず出てくると聞く。その場合、犯罪行為を検知したサンタスイッチによって即座に時間が動き始め、取った歳は元に戻らなくなるそうだ。
時間停止中に家に入り、寝ている子どもの枕元にプレゼントを置く。
家を出た後、もう一度サンタスイッチを押せば、時間は動き出し、若さも戻ってくる。
一晩で何度も老化と若返りを繰り返していると僕の将来のビジョンが見えてくる。
１年後の自分は想像できなくても５０年後の僕は想像できる。
そして７０代になった今の僕は想像通りの元気なジジイである。