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部室でラジオをきいていたときだった。知らない曲が流れた。感じとしては、だいぶ昔の曲。年代はわからない。
ふとテリアさんを見ると泣いていて、ぼくはひどく、けれど静かにあわてた。
テリアさんは、ぼくの視線に気がつき、
―やだあ、もう、見られちゃったあ
とおどけてみせた。
テリアさんと一緒の駅までの道。いつもしゃべりっぱなしのテリアさんがその日は無言で、ぼくも無言で。それに耐えかね、無理に、ぼくは話した。
―夏に、冷房と間違えて暖房入れちゃったことあってさ、冬に、冷房入れちゃったことはないけど
テリアさんは、笑ってくれなかった。
かわりに、
―何も聞かないでくれてありがと
と言った。
すでに駅に着いていることにぼくが気づかないでいたら、
―じゃあ、またね
と言ってテリアさんは逆方向のホームを上がっていった。
聞かなかったんじゃない。聞けなかっただけだ。
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ふとテリアさんを見ると泣いていて、ぼくはひどく、けれど静かにあわてた。
テリアさんは、ぼくの視線に気がつき、
―やだあ、もう、見られちゃったあ
とおどけてみせた。
テリアさんと一緒の駅までの道。いつもしゃべりっぱなしのテリアさんがその日は無言で、ぼくも無言で。それに耐えかね、無理に、ぼくは話した。
―夏に、冷房と間違えて暖房入れちゃったことあってさ、冬に、冷房入れちゃったことはないけど
テリアさんは、笑ってくれなかった。
かわりに、
―何も聞かないでくれてありがと
と言った。
すでに駅に着いていることにぼくが気づかないでいたら、
―じゃあ、またね
と言ってテリアさんは逆方向のホームを上がっていった。
聞かなかったんじゃない。聞けなかっただけだ。
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青春
公開:25/12/26 03:09
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あまなす