２０１９年１０月１日

「おれが小さい頃、通っていた小学校に変な奴がいたんだ」
「変な奴？」
「例えばな、カッターで指を切ったら絆創膏をくれるだろう。そいつはわざわざ自分のその部分の皮を薄くはがして渡してくれるんだよ」
「変わっているより怖いな」
「んでな、ある事故で指を切り落とした友人がいたんだが、そいつは自分の指を同じように切り落としてそいつの指にぬいつけようとしたんだ。そのすぐあと、そいつは転校していったよ」「おまえ、夏だからって、無理にこわいはなし、しなくていいんだぞ」
　ちゃかすように笑いながら手で払う仕草をした友人の人差し指はなかった。