不機嫌な猫

可愛い猫は人に愛される。
愛子は猫になりたかった。人に愛されたかった。
だから、可愛く微笑んで、人に懐く。

でも、幸せではなかった。愛されたいのに、見返りを求められる。
見返りを求められるのが嫌だから、愛子は不機嫌な猫でいた。
不機嫌でいると、周りは愛子の機嫌を取ってくれる。

愛されてると錯覚できた。

でも、結局、一人ぼっち。

愛される、かわいい猫をよく観察した。
愛子と猫の違い。

猫は自分のしたいことだけする。
好きな人にだけ、にゃーと懐く。

愛子は嫌なこともする。
嫌いな人にも可愛く微笑む。

愛子はご機嫌な猫になった。自分を愛でることにした。
人から愛される様になった。

自分を愛さないと愛されないことが分かった。

今日も愛子は自分の為に、『にゃー』と鳴く。