縄張り

「あそこにあるかしら…」
目の前には、人が住んではいないであろう小屋がある。

おぼつかない足取りでおそるおそる小屋に入った。
「何か食べ物は、ないかしら？」
「この木箱は何かしら？」
「この匂い、リンゴだわ！」

木箱を開け、欲のままにリンゴを口にした。
「果実だなんて何ヶ月ぶりかしら」
「これだけでも持って帰りましょう」
そこに目付きの鋭い一人の男性がこちらに銃を構えながら現れた。
「お前！そこで何をしている」

その声に反応し、とっさに手を挙げて答えた。
「違うのです！」
「ただ、子供たちがお腹を空かせていまして…」
「リンゴ１つでよいのです」
「分けてください」

その姿を見た男性は、銃を構えながら叫んだ。
「来るな！出て行けー！」
大きな銃声が一発、空に響き渡った。


少し離れた森の巣穴から２匹の小熊がしびれをきらして出てきた。
「お腹空いた～」
「ママ早く帰ってきて～」