祖父と僕とサンタクロース

僕が子どもの頃、祖父はサンタクロースの免許を返納した。
高齢者の自動車運転事故のニュースを見て、思うところがあったようだ。
生涯現役を掲げていた祖父だが、サンタクロースではなくなった。クリスマスは祖父と過ごせるようになった。
祖父のいるクリスマス。嬉しい反面、祖父の寂しそうな笑みに胸が締め付けられる。
だから大人になった僕は、すぐにサンタクロースの免許を取得した。
今年のクリスマスはサンタクロースとしての初めて仕事も入った。
その仕事に祖父も同行させて下さいとサンタさんに頼んだ。
サンタさんもかつての相棒に久しぶりに会いたいらしく、二つ返事でOKしてくれた。
現役時代はソリを引いていた祖父。サンタさんの隣に座っていいと言ったが走りたそうにしている。
トナカイの血が騒ぐのだろう。サンタさんとトナカイで、サンタクロースだもんね。
僕は祖父に先導をお願いした。それなら免許がなくても問題ないから。