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年末の朝、吐く息が白くほどけるほど冷えた空気の中で、私は家のベランダから空を見上げていた。
すると冬の低い朝日を受け、小鳥の群れが海へ向かって一斉に飛び立つところだった。
前後にはリーダーらしき影があり、羽音を揃えながら群れは整然と高度を上げていく。
途中まで烏が執念深く追ったが、次第に差が開き、その速さに諦めたように引き返した。
この群れは寒い日本を離れ暖かな南の国に向かう渡り鳥なのだろう。
目に見えない風の道を信じ、ただ前へ進む小さな命達に、私は思わず手を振り、長旅の無事を祈った。
やがて群れは澄んだ青空に溶けるように消え、再び静けさが戻った。
それから何日も経ったある朝、ベランダに見知らぬ羽が一枚落ちていた。拾い上げると冬空の下では不思議なほど温もりが残り、かすかに南の海の匂いがした。その羽を胸ポケットにしまった瞬間、理由もなく、今年も無事に年を越せ新年を迎える事が出来ると確信した。
すると冬の低い朝日を受け、小鳥の群れが海へ向かって一斉に飛び立つところだった。
前後にはリーダーらしき影があり、羽音を揃えながら群れは整然と高度を上げていく。
途中まで烏が執念深く追ったが、次第に差が開き、その速さに諦めたように引き返した。
この群れは寒い日本を離れ暖かな南の国に向かう渡り鳥なのだろう。
目に見えない風の道を信じ、ただ前へ進む小さな命達に、私は思わず手を振り、長旅の無事を祈った。
やがて群れは澄んだ青空に溶けるように消え、再び静けさが戻った。
それから何日も経ったある朝、ベランダに見知らぬ羽が一枚落ちていた。拾い上げると冬空の下では不思議なほど温もりが残り、かすかに南の海の匂いがした。その羽を胸ポケットにしまった瞬間、理由もなく、今年も無事に年を越せ新年を迎える事が出来ると確信した。
ファンタジー
公開:25/12/21 10:31
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gonsuke