代行ロボット

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男性は、自宅でスマホを眺めていた。
すると突然「ポーン」という効果音と共に声が聞こえた。
「通知が届きました。宛先はA子さんからです」
「A子さんは、K助さんと別れたいと思っています」
「この要望に返信しますか?」

声の主は、ワンルームのローテーブルに置かれた大きさにして14cmほどのロボットであった。

翌日、会社のデスクに一人一台置かれた代行ロボットにK助宛に通知が届いていた。
相手は、新入社員の男性からのお願い事だった。
「用事があるなら直接来いよ…」
「仕事がやりにくい時代になったものだ」

数ヶ月後、社長室にK助が呼び出され、地方への転勤が決定した。
喫煙所で男性2人がその話をしている。

「K助さんが異動になったらしいですよ」
「言いにくいことを代行するロボットのはずが嫌いな奴を排除することに使われるとは…」

面倒を代行するロボットは、今日も誰かの心の内を代行している。
SF
公開:25/12/16 20:03
更新:25/12/16 20:04

アメ玉

アメ玉です。
「サッと読めておもしろい物語」を書くことが目標です!

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