寄り添う
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縁側にふと目をやると、飼いネコが、陽光を浴びながら、丸まって、眠っていた。そして、その飼いネコの傍らに、一匹のネズミが、寄り添うように、いた。ネコに寄り添うネズミがいるか。苦笑しながら、追い払おうとして、私が立ち上がると、その物音と気配を察知したらしく、飼いネコが目覚めて、はっと顔を上げた。その瞬間、ネズミの姿が薄くなり、そして煙のように消えてしまった。どうやらあのネズミは、飼いネコが見ていた夢らしい。悪いことをした。再び眠り始めた飼いネコの邪魔をしないよう、私はその縁側をそっと離れた。
ファンタジー
公開:25/12/16 06:45
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象