ポッキーゲーム

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「明日佳、ポッキーゲームやろう」

「今日はポッキーの日じゃないよ」

ソファでだらりと寝転がる私の顔を覗き込む咲也の瞳は真っ暗だ。

口に挟んだポッキーをどんどん私に近づけてくる。

これは覚悟を決めるしかないのだろうか。

迷っている間にチョコの部分が口元に届きグサッと舌まで到達した。

ーボキッ

それは音を立てて呆気なく折れてしまった。

「あっ」

「残念だったね」

頬をぷくーっと膨らませる彼女にハハッと声に出して笑った。

そのままポッキーを一つ抜き取って口に含む。

甘いチョコが脳内の霧を消し飛ばす。

食べ終わった後もメソメソと泣き真似をする咲也の口にポッキーを突っ込んで、残りの部分をガリッと噛んだ。

もちろん柔らかい感触はダイレクトに伝わった。

「そっ!それは反則!」

「ルールも何もないじゃない」

顔を赤らめて小さな手で覆い隠す姿に頭を撫でずにはいられなかった。
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公開:25/12/15 21:54

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