Xマスケーキ

6
5

雪が深々と降る町に、思い出洋菓子店というケーキ屋さんがありました。ケースには、Xマスだけに姿を現す不思議なケーキがあるとの噂さです。
その名はメモリー・ミラージュ。見た目は普通のケーキだけど、一口食べると一番大切な記憶が、淡い光となり
ケーキの上に浮かびます。
イブの日に、孤児の少女メイは店を訪れました。寂しい日々を送っているメイはケースの前に立ち止まり、溜息をつきました。
それ、食べてみるかいと白い帽子の店主が微笑むと、メイは頷きケーキを一口含みました。
次の瞬間、暖かな光が差し懐かしい光景が見えたのです。
昔、Xマスに家族三人で笑いながらケーキを囲む情景や蝋燭の火、父母の笑顔が浮かび、メイの頬には一粒の涙が落ちました。
思出はね、消えない。迷子になるだけさ店主の声に、メイは顔を上げました。
すると、光の中の家族はこちらに手を振っています。その瞬間、胸の奥が、きゅーんと温かくなりました。
ファンタジー
公開:25/12/15 11:05
更新:25/12/15 20:01

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容