サンタブックス

今年もまた、この図書館に子ども達から本の寄付があった。
おかげで図書館は昔のように本で溢れている。
その昔、本は場所を取るから不要だと、全て燃やされた。タブレットがあれば事足りると、図書館と本屋は全て潰された。何とも愚かしい出来事だ…
本のなくなった世界は味気ないものになってしまった。読書家達は紙の本を懐かしんでは、トイレットペーパーを撫でながらタブレットに指を走らせる。今や紙の感触を味わえるものはかなり限られている。
そんな中、唯一紙の本を手に入れる手段があるとすれば、サンタクロースからのプレゼントだ。
クリスマスの夜、サンタクロースはプレゼントとは別に子ども達に紙の本をくれる。
貴重なそれを、子ども達は読み終えると図書館再建の夢を叶えようとする私に譲ってくれる。
真っ白な息を吐き、私に本を差しだしてくる赤い頬の子ども達。
小さなサンタクロースからのプレゼントに、私は年甲斐もなく喜んだ。