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森のいいところは時計がないことだった。日中は心ゆくまで好きな読書にのめり込む。或いは日がな一日、猫のユッケと語り合うこともあった。
ところが、ある1本のイチョウの大木――いっせいに黄金色へ染まった葉があまりにも神々しかったので、私は『神の木』と呼んでいた――に、時計が生えたことで事情が変わった。
時計とは人間が作った機器である。ふつう木に生えたりしない。しかし至ってシンプルな木製の長針と短針は、ある日突然なんの前触れもなく幹に誕生したのである。
すると朝昼晩に空腹を覚えたり、眠気を催すようになった。やったことのない体操をし、用事を作って動いてしまう。
ある朝、目覚めたらユッケは置き手紙を残して消えていた。
『わたしの時間はあなたより早く進んでしまうから、ここを出ていきます』
何日も泣いたが、そうしたところでユッケは帰ってこない。人間の一生も神の木ほど長くないのだ。私も急いで森を出た。
ところが、ある1本のイチョウの大木――いっせいに黄金色へ染まった葉があまりにも神々しかったので、私は『神の木』と呼んでいた――に、時計が生えたことで事情が変わった。
時計とは人間が作った機器である。ふつう木に生えたりしない。しかし至ってシンプルな木製の長針と短針は、ある日突然なんの前触れもなく幹に誕生したのである。
すると朝昼晩に空腹を覚えたり、眠気を催すようになった。やったことのない体操をし、用事を作って動いてしまう。
ある朝、目覚めたらユッケは置き手紙を残して消えていた。
『わたしの時間はあなたより早く進んでしまうから、ここを出ていきます』
何日も泣いたが、そうしたところでユッケは帰ってこない。人間の一生も神の木ほど長くないのだ。私も急いで森を出た。
ファンタジー
公開:25/12/18 09:07
更新:25/12/18 09:16
更新:25/12/18 09:16
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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いちいおと