コイ・ヴィトン

同僚のAさんが「これ、彼からクリスマスプレゼントに貰ったヴィトンのバッグ」と自慢してきた。
クリスマスは来週なのに？違和感を覚えた私はAさんに恐る恐る「それ、本物ですか？」と聞いてみた。
「本物に決まっているじゃない！ルイ・ヴィトンの姉妹品、コイ・ヴィトンよ！まあ、知らない人には偽物に見えちゃうかもね～」
なおもドヤ顔のAさん。コイ・ヴィトンはロゴがLVじゃなくてLoVeになっている、と聞いてもいないのに教えてくれる。いや、知っているし。
「それが本物のコイ・ヴィトンってのは分かります。私が聞きたいのは貴方が本物の、本命彼女かって事です。シリアルナンバーを見て下さい。本命なら１って書いていますよ」
私の指摘に番号を確認するAさん。「…４」と呟いた。
押し黙るAさんに私の持つ本物のコイ・ヴィトンを見せてあげた。
シリアルナンバー１。本命の持つ輝きに、Aさんは「騙された！」と涙目になっていた。