マラカス枝豆

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なるほど、紙エプロンが必要な訳だ。
サルサソースに絡めた豆が陽気なリズムで皿を蹴る。

シャカシャッ!

マラカスに似た音で跳ね上げられたサルサが赤い薔薇の様なシミを紙エプロンへ次々に咲かせる。…情熱的!

「マラカス枝豆です。難しく考えず、ただ楽しさに身を委ねるのも時には悪くありません」

今日も紳士的に不思議なおつまみを出してきたマスターにグラスを傾けつつ尋ねる。

「難しい顔してました?」
「それはもう…ハシビロコウの様に」

微動だにしない真顔なハシビロコウの自分を想像してクスっと笑い、私はシャカシャカと威勢の良い枝豆を銀の匙で思いきり掬って頬張った。

ジャカジャッ!!

咀嚼する程に激しく鳴る枝豆とハムスターの様に膨らむ私の頬。口の中がマラカスみたいで楽しい!

「枝豆の花言葉をご存じですか?」

グラスを磨きながら尋ねてきたマスターへ首を横に振る。

「【必ず来る幸せ】です」
公開:25/12/13 10:00

ネモフィラの旅人( 風の向くまま )

旅人なのでいたりいなかったりします

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