優秀な遺伝子

私の両親はとても優秀な人達です。
学生時代は文武両道。社会に出ればリーダーシップを発揮し、３０歳になる前に独立。
年商は億越えで、自宅には沢山の高価で完璧な品々が並ぶ。
そんな中、唯一不出来なものと言えば、私だ。
運動も勉強も苦手で、両親のようになれない私。いつも誰かの後をついていき、自己主張なんてしない。できない。
そんな私を見かねて、両親は私の食事に自分達の爪の垢を入れ始めました。優秀な遺伝子を直接摂取させるつもりなのでしょう。両親の体毛も食べさせられましたし、血も飲まされました。
それが虐待と認められ、両親は逮捕されました。優秀でない私は一人、取り残されました。
私は今、ペットショップで働いています。
優秀でない私ではありますが、一つだけ取り柄があったのです。
私の血を動物の餌に混ぜて与えると、動物は私みたく従順になるんです。
私自身は優秀でなくても、私の遺伝子は優秀だったようです。