モンスター

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部屋の隅にはモンスターがいる。天井の隅から私を見つめる黒い影。2つの目玉だけがギョロギョロ光っている。
毎日布団を被って隠れる。
子供の頃からずっとそうだった。こちらに危害を加えることは無いが、私はいつもこわい。
小さい頃母に存在を訴えたが「気のせいよ」といつもあしらわれてしまった。

そいつは夜しか現れない。夜中トイレに起きた時も、悪夢を見て飛び起きた時も、ずっとずっと私を見ている。それ以上は何もしない。
大人になり、1人暮らしを始めても、そいつは私に付いてきた。
どんなに遅く帰っても、高熱を出してうなされる夜も、ずっとずっと私を見ていた。

さて、もう今日で人生を終わらせようとした日、そいつは私に飛びかかってきた。手の中のライターが落ちた。
そっか、私を見張ってたんじゃなくて、見守ってたんだ、と理解した。
その瞬間、モンスターの大きな口に一口で呑み込まれた。
だから、これで、全部安心。
その他
公開:25/12/14 19:54

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