追われている

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「ヤツの様子はどうだ?」
「そうですね、この調子ですと……、あと三日ほどで我々に追いつく見込みです」
「まずいな。ヤツが持っている今回の主な武器は?」
「未処理のレシート、二ヶ月分、ですね」
「強力だな」
「ええ、まともに食らったら週末が消し飛びます」
「少しでも削っておきたいが……、今日は洗濯と掃除だけでエネルギーが切れそうだ」
「無理をしないで。まだ猶予はあります」

会話を終えて、わたしはアプリの地図を見る。赤いピンが“生活”の位置、青いピンがわたし。距離はじわじわと縮まっている。タスク管理用の「生活さんと鬼ごっこ」アプリ。これを導入してからというもの、日常の雑務を溜めることは少なくなった。生活からは逃げきれないので立ち向かう方が楽なのだ。

「仕方ない。1枚だけでもレシートの処理を……」

着手を始めると青ピンが少し前に進んだ。このまま行けるか? 生活さんとの終わりのない鬼ごっこ。
ファンタジー
公開:25/12/14 16:29

藍見サトナリ

ご覧くださってありがとうございます。
学生時代、文芸部に所属して短いお話を書いていました。あれからウン十年、仕事、家事育児に追われて自由な創作から離れていましたが、心のリハビリ(ストレッチ?)のために登録。
//日々の生活が追ってくるため、ログインが不定期になります。

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