長い夜
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ある日の夕方、さびれた公園の公衆トイレの、落書きだらけの個室に入り、用を足した後、水を流そうとレバーを見た。レバーには『大・小』ではなく『善・悪』と書かれていた。今しがた自分が出した物をまじまじと見た。これが善と悪のどちらに属するのかわからなかった。何かヒントはないか。周りを見回すと、壁の落書きが目に入った。それはただの落書きではなかった。古今東西のあらゆる哲学者の言葉が書き込まれているのだった。長い夜が始まった。
その他
公開:25/12/14 12:04
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象