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気ままな一人旅で田舎の宿に泊まり、自殺の名所として知られるK岬にやって来た。
寒風が吹く冬の夕暮れで、閑散としているかと思っていたが、観光客が大勢いる。若い女、老人、夫婦連れなど様々だ。
下は断崖絶壁で、岩に白い波がぶつかって砕ける。
「雄大な景色でしょう」
男が俺に話しかける。
「この天気なのに、にぎやかですね」
「ええ、こんな日は誰も来ないので、みんな心おきなく思い出に浸れるんですよ。この岬にやって来た時の」
人々が一斉に俺の方を見た。
「さあ、あなたもお仲間に」
引き込まれるように崖の方に足が向かう。
そして俺は身を投げ……
「お客さん、起きてください。朝ご飯の時間ですよ」
宿の女将に起こされた。旅の疲れからか寝過ごしてしまったようだ。
「今日はK岬の方にお出かけですか?」
「いや、やめておくよ」
「みなさんそうおっしゃいます」
女将が微笑んだ。
寒風が吹く冬の夕暮れで、閑散としているかと思っていたが、観光客が大勢いる。若い女、老人、夫婦連れなど様々だ。
下は断崖絶壁で、岩に白い波がぶつかって砕ける。
「雄大な景色でしょう」
男が俺に話しかける。
「この天気なのに、にぎやかですね」
「ええ、こんな日は誰も来ないので、みんな心おきなく思い出に浸れるんですよ。この岬にやって来た時の」
人々が一斉に俺の方を見た。
「さあ、あなたもお仲間に」
引き込まれるように崖の方に足が向かう。
そして俺は身を投げ……
「お客さん、起きてください。朝ご飯の時間ですよ」
宿の女将に起こされた。旅の疲れからか寝過ごしてしまったようだ。
「今日はK岬の方にお出かけですか?」
「いや、やめておくよ」
「みなさんそうおっしゃいます」
女将が微笑んだ。
ホラー
公開:25/12/14 07:09
老後の楽しみに、短いものを時々書いています。
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ナラネコ