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 仕事終わり、会社の同僚二人が居酒屋で話をしていた。

「そういえばお前、まだ結婚しないのか。そろそろいい歳だろ」

 既婚者の鞠川原雄がビールを煽った後、未婚者の只野弱男にふと尋ねた。

「いや、まぁしたいけどさぁ…うーん」

 弱男は語尾を濁し、浮かない顔で焼き鳥を食べた。

「なんだ、どっちなんだよ。気になる人とかいないのか。好きなタイプとかは?」

「いや、したいよ。したいしマッチングアプリとかやってるんだけど、一つ重大な問題に気がついたんだってば」

 矢継ぎ早に質問をぶつける原雄に、弱男は少し不機嫌そうに言った。

「重大な問題? なんだよそれって」

 少し怪訝そうに尋ねた原雄に対し、弱男はウーロンハイを一気に飲み干し、一呼吸おいて言い放った。

「俺さ…俺みたいな奴と結婚するような馬鹿な女、嫌いなんだよね。だから俺、結婚無理なの」

 原雄はかける言葉も見つからなかった。
その他
公開:25/12/08 11:39
更新:25/12/08 19:31

ウルス・ミシカ

小説を書く熊です。
 

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