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朝の風にのって号砲が鳴り響くと、一斉にスタートした。人の波にまぎれて奇妙な集団達がコースへ滑りこんだ。
犬達は尻尾を振りながら軽快に走り、猫達の一団は気ままに路肩へ寄っては拾い食いをしたり、仲間と遊びながらでレースを楽しんでいる。
それでも声援を受けると誇らしげに胸を張り、まるで本気のランナーのようだ。
やがて遠くから、のそのそと亀とでんでんむしの集団までが姿を見せた。あまりの遅さに係員も一瞬目を丸くしたが、彼らは自分の歩幅で、じわりじわりと確かに前へ進んでいる。
その時、どこからともなく小さな葉っぱが舞い、風が静かに一筋の道を形づくった。誰も理由は分からない。
ただその瞬間だけ、時間がほどけるようにゆっくりと流れ、速い者も遅い者も同じリズムと呼吸で走りだした。
観客は思わず息を呑む。
それは速さでも時間での競争でもなく、それぞれの歩みを祝福するための、不思議なマラソンだった。
犬達は尻尾を振りながら軽快に走り、猫達の一団は気ままに路肩へ寄っては拾い食いをしたり、仲間と遊びながらでレースを楽しんでいる。
それでも声援を受けると誇らしげに胸を張り、まるで本気のランナーのようだ。
やがて遠くから、のそのそと亀とでんでんむしの集団までが姿を見せた。あまりの遅さに係員も一瞬目を丸くしたが、彼らは自分の歩幅で、じわりじわりと確かに前へ進んでいる。
その時、どこからともなく小さな葉っぱが舞い、風が静かに一筋の道を形づくった。誰も理由は分からない。
ただその瞬間だけ、時間がほどけるようにゆっくりと流れ、速い者も遅い者も同じリズムと呼吸で走りだした。
観客は思わず息を呑む。
それは速さでも時間での競争でもなく、それぞれの歩みを祝福するための、不思議なマラソンだった。
ファンタジー
公開:25/12/08 00:26
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gonsuke