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 とある島国の総理大臣が、半日に渡る警察の取り調べから帰ってきた。

「おかえりなさいませ総理。しかしまた何故警察の厄介に?」

 秘書が尋ねた。

「収賄だよ」

 そう総理大臣はあっけらかんと言い捨てると、意匠を凝らしたカットが施されたロックグラスにウイスキーを四分の一ほど入れ、それを一気に煽ってしかめ面を見せた後、くつくつと笑った。

「いやぁまいったよ。贔屓の外資からお金貰ってるのバレちゃってさ。そりゃあんだけお得意様に有利な発言し続けたら、怪しまれるのも無理ないよなぁ」

「はぁそりゃ大変でしたね。ですが、一体どうやってことを収めたのです? 今のところマスコミも静かですが」

 そう秘書が聞くと、総理大臣は二杯目のウイスキーをグラスに入れ、静かに言い放った。

「贈賄だよ」
その他
公開:25/12/07 20:18
更新:25/12/07 20:19

ウルス・ミシカ

小説を書く熊です。
 

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