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男は役者であった。
師匠の元で修行を始めてから、早十数年。
師匠のカバン持ちをしていた男は、今や海外からも声が掛かるスターになり、男の芝居は師匠を超えたと言われている。
師匠はそう言われるのが、嫌ではなかった。
むしろ、誇らしかった。
男は役者として、役づくりに余念がなかった。
役が痩せた男ならば、減量する。時には、骨と皮のようになることもある。
そんな風に役に合わせて、自分を変えるのだ。
近頃、男は悩んでいた。
誰にもなにも言わないが、男の表情は曇っていた。
師匠は男を心配した。
そんなある日、信じられないニュースが飛び込んできた。
男は自ら用意した、藍色の染料が入ったタンクに飛び込んだのである。
男の全身は青に染め上げられていた。
師匠は男に聞いた。
「なぜ、そんな事をした?」
男は、晴れ晴れとした表情で言った。
「役作りですよ。今度の役は、『全身が真っ青な宇宙人』なんです。」
師匠の元で修行を始めてから、早十数年。
師匠のカバン持ちをしていた男は、今や海外からも声が掛かるスターになり、男の芝居は師匠を超えたと言われている。
師匠はそう言われるのが、嫌ではなかった。
むしろ、誇らしかった。
男は役者として、役づくりに余念がなかった。
役が痩せた男ならば、減量する。時には、骨と皮のようになることもある。
そんな風に役に合わせて、自分を変えるのだ。
近頃、男は悩んでいた。
誰にもなにも言わないが、男の表情は曇っていた。
師匠は男を心配した。
そんなある日、信じられないニュースが飛び込んできた。
男は自ら用意した、藍色の染料が入ったタンクに飛び込んだのである。
男の全身は青に染め上げられていた。
師匠は男に聞いた。
「なぜ、そんな事をした?」
男は、晴れ晴れとした表情で言った。
「役作りですよ。今度の役は、『全身が真っ青な宇宙人』なんです。」
その他
公開:25/12/06 22:28
加賀美 秋彦と申します。
学生時代からのショートショート好きが高じて、2025年4月から自分でも書き始めました。
幅広く色々なジャンルの作品を書いていきたいと思っております。
よろしくお願いします。
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加賀美 秋彦