ふんふんふん
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ふんふんふん。道を歩いていたら、頭上から鼻息が聞こえてきた。見上げると、火葬場の煙突が、ヘビのように体を曲げ、俺のにおいを嗅いでいた。ふんふんふん。俺は固まって動けなかった。ふんっ。火葬場の煙突は、一息吐き出すと、元のまっすぐな形に戻った。やがて、その煙突から、煙が出てきた。いつもの光景だった。ああ、あの煙突は、生きている人間のにおいを嗅ぎたかったのだな、と気づいた。
ホラー
公開:25/12/10 12:26
短い読み物を書いています。その他の短編→ https://tomokotomariko.hatenablog.com/
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六井象