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「首輪のボタンを押すだけでいいのね」
A子は、リビングで一匹の愛犬に首輪を付けていた。
その色鮮やかな首輪から声が聞こえた。

「A子ちゃん、これは何?」
「首がかゆくて嫌だ!」
「早くお散歩行きたい」
その声の主は、A子の愛犬マルコだった。


ある日、マルコとの会話が当たり前になった頃。
A子とマルコが会話をしていた。
「おい、ご飯!」
「ご飯の時間は、まだ先でしょう」
「お腹減ったんだよ」
「なら、お座りしなさい」

マルコは黙ってお座りをしたが数秒も経たないうちに首輪から声がした。
「座ったのだから早くご飯出せよ!」

その言葉にたまらずA子は、首輪のスイッチを切った。
さげすんだ目差しをマルコに向けるA子が小声で言った。

「私のマルコは、こんな性格じゃないわ…」


数日後、愛犬と散歩中のA子がいた。
そこには、色鮮やかな首輪は見当たらず、以前とは違う犬と一緒だった。
SF
公開:25/12/09 21:20

アメ玉

アメ玉です。
「サッと読めておもしろい物語」を書くことが目標です!

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