綿毛の二人

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 黄色のワンピースを着た少女は、吹けば飛んでいきそうなくらい繊細だった。
 触れただけでポロポロと崩れてしまいそうで、その手を握るのさえ躊躇った。
 太陽のように眩しい笑顔は、天真爛漫な性格にふさわしく、いつも僕を困らせた。
 その声は僕の心に深く根を張り、挫けてしまいそうな時に支えてくれた。
 エメラルドのような瞳は、この世界は素晴らしいのだと語っているようだった。
 僕は彼女の目にどんなふうに映っていたんだろうか。ついぞ聞けなかった。
 でも彼女は最後に「またね」と言った。
 だから「またね」の時、誇れるように努力した。
 贅沢をやめて、人のために尽くした。
 怒ることはやめて、よく笑った。
 怖がらせないように、寄り添うように声をかけた。
 友達に「目が輝いている」と言われた時には、焼肉を奢った。
 風のように時間は吹き去りその時が来た。
 綿毛のような髪をした僕らは、燦々と笑った。
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公開:25/12/03 21:00

猫目ちゅん

のんびり書いていきます。よろしくお願いします。日常を書くのが好きです。でも、ファンタジーも好きです。思いついたものならなんでも好きなのかもしれません。

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