クリスマスの夜、嘘つきサンタがやってきた

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「ねえ、サンタって本当にいると思う?」
冬の街角、イルミネーションに照らされて、彩は小さな声で尋ねた。

「いるよ…でも、ちょっと変わったサンタだけどね」
ケンは笑いながらマフラーをきゅっと巻き直した。

「変わったサンタ?」
「うん、例えば…君の願いを勝手に叶えちゃうサンタさ」
彩は肩をすくめて笑った。「それ、ただの嘘つきじゃない?」

雪が舞い落ち、二人の距離が自然と縮まる。
「じゃあ、僕は嘘つきサンタでもいい。君の笑顔だけは本物だから」

「本気なの?」
「もちろん。本気の嘘なんてない、嘘つきサンタでも」

彩は頬を赤らめ、目を輝かせた。「じゃあ、嘘つきでもいい…あなたのサンタになっていい?」

「約束だよ。来年も、ずっとね」

その夜、彩が枕元を見ると、小さな靴下にメモが一枚。
『来年は本物のサンタも連れてくるよ』
彩は笑いながら、嘘と本気が交差する不思議なクリスマスを胸に抱いた。
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公開:25/12/02 23:12
更新:25/12/03 05:14

森康雄( 千葉 )

短い物語の中に、小さな驚きと余韻をそっと閉じ込めています。
読んでくださる方に、“たのしい違和感”を届けられたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

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