お風呂の好きな雪だるま
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銭湯の前に立つ雪だるまは、うらやましく思っていた。銭湯の入口、のれんをくぐる人たちは何だかみんな幸せそうなのだ。自分だって一度くらい、あっちへ行ってみたい。
ーーそう思った雪だるまは、銭湯の前をそっとうろうろし始めた。なにやらお風呂というものがあるらしい。
けれども「不審者がいる」と通報され、銭湯の若旦那に捕まってしまった。
「お、お風呂に入りたいだけなんです……溶けてもいい、一度でいいから、あったかさってやつを…」
事情を聞けば健気で、放っておけなくなった若旦那はコートを脱いで雪だるまに被せた。「閉店まで隠れてな」
皆が帰ったあと、若旦那は湯船のとなりにタライを用意した。雪だるまをそっと入れると表情がとろけるように緩んだ。
「……あったかい……これが、夢に見た……」
翌朝、タライの中は水になり、炭団が沈んでいた。でも、その水を触ると不思議とあたたかく、満ち足りた気配がした。
ーーそう思った雪だるまは、銭湯の前をそっとうろうろし始めた。なにやらお風呂というものがあるらしい。
けれども「不審者がいる」と通報され、銭湯の若旦那に捕まってしまった。
「お、お風呂に入りたいだけなんです……溶けてもいい、一度でいいから、あったかさってやつを…」
事情を聞けば健気で、放っておけなくなった若旦那はコートを脱いで雪だるまに被せた。「閉店まで隠れてな」
皆が帰ったあと、若旦那は湯船のとなりにタライを用意した。雪だるまをそっと入れると表情がとろけるように緩んだ。
「……あったかい……これが、夢に見た……」
翌朝、タライの中は水になり、炭団が沈んでいた。でも、その水を触ると不思議とあたたかく、満ち足りた気配がした。
ファンタジー
公開:25/12/02 23:12
更新:25/12/03 06:19
更新:25/12/03 06:19
ご覧くださってありがとうございます。
学生時代、文芸部に所属して短いお話を書いていました。あれからウン十年、仕事、家事育児に追われて自由な創作から離れていましたが、心のリハビリ(ストレッチ?)のために登録。
//日々の生活が追ってくるため、ログインが不定期になります。
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藍見サトナリ