パワハラと親父

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飲食業界で30年、勤めてきた。小野寛治はストイックに生きてきた。
見て学ぶ。謙虚に先輩を立て、本音は隠し、忖度の毎日を送り、店長職を続けている。

仕事が誰よりも出来、頭も切れる。
彼の父親もそうだった。
父親の背中を見て育ち、憧れであり、超えたい存在だった。
だが、昭和に生きてきた父親は誰に対しても、独善的だった。
彼は父親の生き方が正しいと思っていた。

令和になり、パワハラがなにかと騒がれる時代になり、今までの生き方が難しくなった。
スタッフは彼の独善的な姿勢に耐えかね、皆、離れていった。

生き方を変えた。独善的から強調的に。下のものには謙虚に、優しく。

親父的から母親的な生き方に変えた。

彼は毎日が楽しくなった。

彼は思った。「親父をを超えたな。」

人は男性的と女性的な感性の中間に心が定まった時、本当の自分に気づく。

これからはそんな生き方が求められる。
その他
公開:25/12/05 18:20

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