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ランチの時間、公園で百合岡さんと出会った。
彼女は他部署の人だけど、それなりの有名人だった。『ふだん全然喋らない、なに考えてるかわかんない謎の人』という悪い意味で、だ。
だからお互い離れたベンチで昼食をとっていたのに、とつぜん話しかけられた時はひどく驚いた。
「同盟結びません?」
初めて聞いた声は消え入りそうなほど小さかった。ことばの意味を十数秒考えてしまった俺は慌てて問い返した。
「なんの同盟ですか?」
百合岡さんはスマートフォンのメモに、『孤獨同盟』と打って俺に見せる。わけがわからない、と肩をすくめたら、彼女は花がほころびたみたいに笑って言った。
「ほどよい距離を保ちつつ孤独を享受する同盟です」
「名案ですね、結びましょう」
結婚して数年経つが、周囲がどんなにドン引きしようと、別居婚はメリットしかないと布教している。
彼女は他部署の人だけど、それなりの有名人だった。『ふだん全然喋らない、なに考えてるかわかんない謎の人』という悪い意味で、だ。
だからお互い離れたベンチで昼食をとっていたのに、とつぜん話しかけられた時はひどく驚いた。
「同盟結びません?」
初めて聞いた声は消え入りそうなほど小さかった。ことばの意味を十数秒考えてしまった俺は慌てて問い返した。
「なんの同盟ですか?」
百合岡さんはスマートフォンのメモに、『孤獨同盟』と打って俺に見せる。わけがわからない、と肩をすくめたら、彼女は花がほころびたみたいに笑って言った。
「ほどよい距離を保ちつつ孤独を享受する同盟です」
「名案ですね、結びましょう」
結婚して数年経つが、周囲がどんなにドン引きしようと、別居婚はメリットしかないと布教している。
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公開:25/12/04 16:04
☆やコメントありがとうございます✨
作品のイラストはibisPaintを使っています。
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いちいおと