ぼくはフシギであふれてる。

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 バス停に着いたら電話が鳴った。おばあちゃんからだ。
「携帯忘れてるよ」
 ぼくはしまったとおでこに手を当てる。
「ごめんごめん、取りに戻る」
 電話を切ろうとして気づく。自分が何も持っていないことに。
 ぼくは一体どうやって電話に出たんだろう?
 念のために自分の体を探ってみる。やはり持ってない。
 じゃあ今の会話はなんだ?
 ぼくは、事実を受け入れて考えて直してみる。
 もしも。ぼくの錯覚だとしたら。
 電話がないことに無意識で気がついて、脳が勝手にさっきの会話を生み出したってことか。
 もしも、この錯覚が人間全員に備わっているんだとしたら。
 それを研究して発表したら、ぼくは大物になるのでは?
 そんなことを考えているうちにおばあちゃんの家に帰ってきた。
 そんなぼくにおばあちゃんが言う。
「さっき電話で言い忘れたけど、おやつに饅頭持ってきな」
 ぼくはフシギであふれてる。
ファンタジー
公開:25/11/30 22:00
更新:25/12/02 20:41

猫目ちゅん

のんびり屋さんです。よろしくお願いします。日常を書くのが好きです。ファンタジーも好きです。思いついたものならなんでも好きかもしれません。たまにタイトル裏のイラストも描きます。

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