夕陽に叫べ、オレたちの青春

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「おれたち、やっとここまで来たな」
夕陽に照らされながら言うと、あいつが鼻で笑った。
「当然だろ。おれら最強コンビだぜ」
「おいおい、おれが引っ張ってんだよ」
「ああそうかよ。これからも一緒にやっていこう」

潮風が胸を叩き、心臓がドラムみたいに跳ねる。

「なぁ、もし倒れそうになったら?」
あいつが急に真面目な声を出す。
「その時ゃ肩貸してやる。おれは男だ。仲間を見捨てねぇ」
「そうか、頼んだぜ」
「よし、分かった」

夕陽が赤く道を照らし、影がふたつ、長く伸びる。

「来年もここで叫ぶか?」
「当然だ。逃げも隠れもしねぇ。おれらの場所だ」
波が足元を洗う。
「約束だぞ」
「ああ、オレたちの約束だ」

ふたりの声が海に吸い込まれていった。
青春
公開:25/11/29 13:13

森康雄( 千葉 )

短い物語の中に、小さな驚きと余韻をそっと閉じ込めています。
読んでくださる方に、“たのしい違和感”を届けられたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

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