浮かばれない者たち ― 精気奪い人

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瘴気に沈む村へ、救いのものが足を踏み入れた。
掲示板の文字は血の匂いを放ち、彼を縛る。
「役務を背負え。他者から魂を奪え。」

村人は影のように互いを見つめ、
息を吸い、声を飲み込み、記憶を削る。
触れられると耳鳴りが広がり、
冷たい鉄の匂いが鼻を刺し、
皮膚は氷の刃に触れるように震えた。

奪われた者は空洞となり、
濁った目で命令だけを繰り返す。
村は氷と炎の矛盾で維持されていた。
奪うことで燃え、奪うことで凍る。
その矛盾こそが掟だった。

救いのものは抗った。
だが影が深く差し込むと、
胸の熱が凍るように抜け、
記憶は炎に焼かれるように消えていった。

彼の身体は空洞となり、
掲示板に新しい文字が浮かぶ。
「救う者も、奪う者となる。」

その下に、かすかな痕跡。
――「まだ、ここにいる。」

村そのものが掲示板となり、
亡者たちの影は、次の訪れ人を待ち続けていた。
ホラー
公開:25/12/30 18:03
更新:26/01/18 07:19

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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