百人の影

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雨を吸うネオンの広場に、一人の青年が立った。
「一緒にやろう」と呼びかける声は、雑踏に紛れながらも確かに響いた。

最初は二人、次に十人。
やがて百人が集まり、広場はざわめきで満ちていく。
職人は道具を掲げ、旅人は物語を語り、研究者は未来を語り、孤児は沈黙を抱え、兵士は記憶を背負った。

声はただ重なるだけではなかった。
職人の叫びは旅人の物語に遮られ、兵士の記憶は研究者の未来と衝突した。
孤児の沈黙だけが、その波を静かに受け止めていた。

百人の声は時にぶつかり、時に重なり、巨大な波のように揺れた。
技術への信頼と不安、戦争の記憶と忘却、生活の希望と疲弊――その総体が広場を包み込む。

青年は問いかける。
「より多くを巻き込むために、今、あなたは何を削りますか?」

その問いは百人の影を広場に残した。
SF
公開:25/12/26 21:32
更新:26/01/18 07:17

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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