愛のある風景

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男は、一人の女性を見つめていた。
男の瞳に映るその女性は、彼の理想とする究極の美を持っていた。
春夏秋冬、さまざまな季節の色合いで彼女は変わった。
そして、彼女はその季節毎に違った魅力に溢れていた。
男の瞳はいつも彼女だけを追っていた。
彼女の瞳も同じだった。

だが、それは突然終わりを告げた。
男は、彼女の元を去らねばならなくなったのだ。
男は、彼女の元を離れたくなかったが、彼にはどうすることも出来なかった。

男が彼女と離れて数ヶ月が過ぎた。

「やはり、この二人は一緒じゃなきゃだめだ。」

デパートの偉い人の鶴の一声で、男は彼女の元に戻った。

男と彼女の距離は以前よりも近く、男は彼女の肩に手を置き、愛を囁いた。
そして、彼女も男を見つめ、愛を囁いた。

ショーウィンドウの男女のマネキンは、本物の恋人同士のようだと、通りを歩く人達の注目を集めていた。
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公開:25/12/02 12:00

加賀美 秋彦

加賀美 秋彦と申します。
学生時代からのショートショート好きが高じて、2025年4月から自分でも書き始めました。
幅広く色々なジャンルの作品を書いていきたいと思っております。
よろしくお願いします。
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