話が違う

「話が違うじゃないか！」
俺は激怒する。この女と結婚したら社長の椅子は俺のものだと言っていたのに、一か月経っても俺は平社員のまま。
これは詐欺だ！社長になれないなら、こんな女と結婚する意味なんてない！
俺は会社に文句を言ってやった。

〈ご連絡頂きありがとうございます。すぐに社長の椅子と新しい妻をお送りいたします。今暫くお待ち下さい。〉

その返事に思わず首を傾げる。
…まあ、社長になれるのなら何でもいいか。

後日、俺のもとに妻そっくりな女が社長の椅子を持ってやってきた。
これで俺もついに社長だ！…なんて喜んでいたら俺は二人の妻に刺されていた。
「一人じゃ無理でも」『二人なら簡単ね』
「これで社長はアナタに代わって私」『アナタなんて最初からいらなかったの』
ちくしょう…こいつら初めからそのつもりだったな…
二人の妻は俺を見下す。
「こんなにも品性が欠けているなんて」『話が違っていたわね』