電車の窓に映る後悔

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電車が闇を割るたび、窓に映る自分が揺れた。
降り損ねた駅が、人生にもあった。
学びを先送りし、言うべき言葉を飲み込み、閉まる扉の音だけが胸の奥に沈んでいった。

今夜向かうのは、謝りたい人の家だ。
言えなかった「ごめん」は、喉の奥で錆びついた鍵のように残っている。
玄関灯は、まだ灯っているだろうか。間に合う保証はない。それでも、今なら動ける。

後悔は積もっても、踏み出せば少しだけ形を変える。
電車が減速し、鈍いベルが響く。
次の駅で降りる。勇気を出した一度が、未来の線路を変えるのなら──

あなたは、どの駅で降りますか。
その他
公開:25/11/27 18:32
更新:25/11/27 18:50

問い屋

一瞬のズレを物語に仕込み、
読み終えたあとに問いが残る作品を書いています。
答えが出ても、出なくても。
あなたの一行が、この物語の余白を広げます。

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