自宅のお風呂が世界一！

古くから愛される温泉地。ここで夫はお湯専門のマッサージ師を営んでいる。
大浴場から部屋風呂まで、働きすぎで硬くなったお湯をほぐす。温泉地故、どのお湯も疲れているらしい。
ほとんどのお湯が休みの度にマッサージを受けに来ていると言う。
お湯が疲れると、その温泉の効果効能は薄れる。それどころか、お湯の疲れが伝わってきて、入ると余計に疲れるらしい。
お湯の話を聞くのも仕事だと話す夫。仕事柄、お湯に触れると何となく伝わってくるそうだ。
そんな夫は、我が家のお風呂が世界で一番だと話す。
どこにでもある給湯器でお湯を沸かしているだけのウチのお風呂が？と聞くと、「マッサージのし甲斐があるからね」と笑って答える。
自宅のお風呂なんだからマッサージなんて必要ないのに…
「必要あるよ。お湯が教えてくれるんだ。君が入浴中に口遊む鼻歌を」
真顔でそう言ってくる夫。
ウチのお風呂のお湯が疲れる理由が分かった気がした…