森が問いかける

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言葉の森には、六つの精霊がいた。
その森を渡る者が、静かに歩みを始める。

「風受け」は澄む音とともに、来た風をただ受け流す。
「影立ち」は冷たい影の匂いを残し、そこに立つだけ。

だが「架け橋」は木の香を漂わせながら森に橋を架け、
「流し火」は赤い光を揺らめかせて川を前へと流し、
「磨き手」は石の響きを刻みながら古い道を磨き直し、
「歌紡ぎ」はあたたかなひかりを抱いて新しい歌を生み出す。

旅人は歩むたびに、
どの精霊と契約するかを問われる。

一歩を踏み出すその瞬間、
選んだ言葉が、あなたの物語を形づくる。

――森は問いかける。
その契約を、どの精霊と結ぶのか?
ファンタジー
公開:25/12/20 12:34
更新:25/12/20 20:39

問い屋

読み終えたあと、小さな違和感が残る短編を書いています。
その余韻が続く作品は、noteにまとめています。

https://note.com/toiya_story

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