ウサギの平和

ある朝、庭の土が盛り上がっている。目を凝らすと、淡い光が脈打つように灯り、家のテレビ画像が突然乱れた。
故障かと思った瞬間、画面一杯に星々が映し出され中継が始まった。
無数の星を背に、月がゆっくりと近づき白く煌めく姿が現れた。そこには昔より語られてきた月の白兎達がいた。
彼らは優しく柔らかい声で告げる。
これからは私達が、この地球を穏やかに見守り、平和を保ちます。
その言葉と同時に、庭の盛り上がった土がぱっくりと割れ、小さな円盤が幾つも跳ね出て来た。
それらは光の宝石をまき散らしながら空へ舞い上がり、まるで地球全体を優しく整えている様だった。
奇妙なのに、不思議と温かく胸に響く光景でただ息を呑んで見つめるしかなかった。
こうして地球の新しい一日が、静かに幕を開けた。空気は澄み、風でさえ新しい時代を祝福しているかの様に。
月の兎達がもたらす、幸せに満ちた平和、その訪れを心から感謝している。