眼鏡の奥に残った光

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分厚い眼鏡の奥で、彼は故郷の青空を思い出していた。
講義室で読んだ一節――「理性は未来を築く」。

だが南方の泥濘では、理性は仲間の死を正確に理解させるだけだった。
銃声の合間、レンズには倒れゆく影が次々と焼き付き、
反射する光だけが未来の残像のように揺れていた。

閃光が走り、眼鏡は砕けた。
最後に映ったのは青空ではなく、血に濡れた泥の粒だった。

八月十五日。終戦の声は届かず、彼は土に還った。
残されたのは、砕けたレンズに刻まれた「理性の敗北」という像だけ。

もし彼が生きていたなら、理性は本当に未来を築けたのだろうか。
それとも、未来の欠落を知るための呪いだったのか。

――砕けたレンズの光は、今を生きる私たちの視界にもまだ残っている。
その他
公開:25/12/16 18:06
更新:26/01/18 07:11

問い屋

その違和感を、
まだ持ったままの人へ。
問いの続きを、ここにまとめています。

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