みんなでよくなるギルド、始めました

「俺だけ強くなっても意味がないだろ？」
新人騎士セリオの言葉に、酒場は一瞬静まった。

料理人エレナが鍋を振り、吟遊詩人リナが歌を響かせる。
だが影の森から来た異邦人は首を振った。
「森では誰も信じられなかった。強さは一人で証明するものだ」

空気が張り詰める。
鍋の音と歌声が緊張を和らげる中、セリオは剣を抜かず、初めの言葉を繰り返した。
「俺だけ強くなっても意味がない――だからこそ、君と一緒に強くなりたい」

沈黙の後、異邦人は笑った。
水晶の広場を見渡すセリオの視線の先で、輪は少しだけ広がっていた。

「あなたは誰と一緒に歩みますか？」