時計

深夜目が覚めた。
水でも飲もうと台所へ行き、ふと時計を見ると秒針が逆回りをしている。
ぎょっとして隣の部屋を見ると、そちらの時計も逆回りをしている。
血の気が引きながら家中の時計を確認したが、家にある全ての時計が逆回りをしているようだった。
恐ろしくなって全部の時計の電池を抜き、慌てて寝室に戻った。

頭まで布団を被り、これは夢だ、これは夢だと念じてみたが、全く眠れないまま朝になった。

恐る恐る台所へ行く。
試しに時計の電池を入れると、うんともすんとも動かない。
全ての時計に電池を入れてみたが、どの時計も止まったまま動かなくなっていた。
狐につままれた気持ちになり、しばらくその場に立ち尽くしていた。