昨日と未来のあいだで

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夜更け、机に向かうと
昨日の自分が隣に座っていた。

指先に小さな紙の切り傷を抱え、疲れた声で言う。
「今日も同じことを繰り返しているね。休め。」
その言葉には、温めたミルクの甘い匂いが混じっていた。

窓の外には未来の自分が立っている。
指先にインクの染みを抱え、静かに告げる。
「昨日を超えなければ、ここには来られない。」
その声には、焦げた紙の苦い匂いが漂っていた。

二人の声が重なる。
休め、と進め。
矛盾の痛みが胸を裂き、甘さと苦さが同時に押し寄せる。

ペンを握り直し、
一文字だけ紙に書き殴る。
それは答えではなく、叫びのような線だった。

――休むことと進むこと、
その両方を抱えたまま生きていけるのだろうか。
その他
公開:25/11/26 18:15
更新:25/11/26 18:20

問い屋

一瞬のズレを物語に仕込み、
読み終えたあとに問いが残る作品を書いています。
答えが出ても、出なくても。
あなたの一行が、この物語の余白を広げます。

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