誰にも言えない勇気

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騎士として城を守る私のそばには、忠実な犬ルーファスがいた。
「ルーファス、明日から遠い国で修行だ」
ルーファスは鎧の足元で座り、「ワン!」と応える。
「うん、わかってる。怖いけど…」
ルーファスの目が真剣に私を見つめる。
「私、女だってこと…ばれたら笑われるかもしれない」
「ワン?」
「でも、騎士として守りたいものがあるの。だから行くの」
ルーファスが前足で軽く膝を触る。まるで力をくれるみたいに。
「ありがとう…君の忠誠心は、剣よりも強い」
城壁に沈む夕陽が、鋼の鎧と小さな犬の影を長く伸ばした。
その光の中で、私の秘密の勇気は静かに輝いた。
青春
公開:25/11/26 12:55
更新:25/11/26 12:58

森康雄( 千葉 )

短い物語の中に、小さな驚きと余韻をそっと閉じ込めています。
読んでくださる方に、“たのしい違和感”を届けられたら嬉しいです。
よろしくお願いします。

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